【11月では全国初】大雨特別警報が与論町で。32箇所で冠水、小学校の通学路も。

2024年11月9日に発令された全国初の11月大雨特別警報

2024年11月9日、鹿児島県奄美地方の与論町で「大雨特別警報」が発令されました。

この特別警報は命にかかわるような災害が予想されるときに発令される、最も高い警戒レベルです。
そして11月にこの警報が出されたのは、なんと全国初という異例の出来事でした。

特別警報は通常台風シーズンや梅雨時期に多く見られますが、11月という季節外れの時期に発令されることはほとんどなく、TVなどのニュースでよく取り上げられていました。
私も普段は連絡のない方からも安否を心配する連絡をいただきました。

与論町では、結果的に以下の被害が報告されています。

  • 冠水箇所数: 町内の32か所
  • 床上浸水: 20棟
  • 床下浸水: 9棟

これらの被害は、11月としては全国初となる大雨特別警報が発令されるほどの異常気象によるものでした。

特に影響が出たのは、ピャーヌパンタ(県道の茶花と与論校区を結ぶ県道の坂道のところ)の土砂崩れだと思います。

南海日日新聞より

ピャーヌパンタは商店や病院、役場もある茶花へ行き来するための主要道路。
通学通勤買い物など、生活に欠かせない道ですがご覧の状態(↑)に。

←11/14、土砂撤去後の崩れた現場

誰も巻き込まれなくて本当によかったです。

警報発令前日から大雨

通学路の冠水により学校から緊急お迎え要請

11月8日(大雨特別警報が発令される前日)から、すでに町内では激しい雨が降っていました。
そのため小学校からは1・2年生の保護者に対し、8日の14:34に「通学路の冠水が発生しているため、親が迎えに来るように」との連絡がありました。

その後、15:32には3~6年生についても同様の要請が出され、全学年が保護者によるお迎え対応となりました。

実施予定の漢字検定について

また、この日は漢字検定の実施日でしたが、大雨の影響で特別対応が発表されました。
学校からの連絡によると、検定自体は予定通り実施するものの「特別欠席制度」が適用されることとなり、今回欠席しても次回の漢字検定を受験できる措置が取られました。
わが子も検定を受ける予定でいましたが、雨が凄すぎて欠席させてもらいました。

子ども園の対応

子ども園は保護者のお迎えがデフォルトなので、特に緊急連絡はありませんでしたが、非常時の訓練で行ったようなお迎え方法(園庭まで車で乗り入れて建物近くで引き渡し)でした。

通っている園は高台にあるため水が溜まっておらず、我が家からの通園路が冠水している等もありませんでした。でも、道路の側溝はどこも水の勢いがすごかったです。

←発令前日(11/8)側溝からすごい勢いで溢れる雨水

警報発令当日

翌日9日(大雨特別警報発令した日)小学校は土曜授業で登校予定でした。
しかし、前日8日の夕方学校から「9日の朝7時までは自宅待機するように」との連絡がありました。
その後、雨は弱まることはなく21:33には「土曜授業の取りやめ」の連絡が届きました。

土曜日は生活発表会が予定されていて、本人はとても楽しみにしていたので残念。

川のない島に「雨水の川」が発生、各ビーチに流れ込む

与論町には山がないため川もありません。あるのは用水路や側溝だけです。
しかし、今回の大雨では地表に雨水が集まり、ビーチに向かって流れる「雨水の川」が各ビーチに出現したようです。

←発令2日後(11/11)撮影
ビーチにできた雨の川

普段は青く澄んでいる与論の海も、一部で赤茶色に染まり、海洋環境への影響が心配される事態です。
平時でも雨で赤土の流出が問題になっていますが、今回の大雨で大量に流出してしまったようです。
こうした赤土の流出は、海の生態系やサンゴ礁へのダメージにもつながりかねませんので心配です。

←発令3日後(11/12)撮影

赤土まみれの道路

畑にも影響、流れ込んだ石ころで農作業が困難に?

農地にも今回の大雨の影響が出ています。
各所で畑に大量の石ころが流れ込み、地面が荒れてしまった箇所も見られました。

←発令3日後(11/12)撮影
キビ畑に流れてきた小石

土が不安定になり、畑の管理や作業に必要なトラクターの出入りが難しい状況になっている場所もあります。
特に心配なのは、これから本格的に始まる、インゲン収穫、キビ刈りシーズンへの影響です。
与論で70年以上暮らす義母も「知り合いのキビ畑、インゲン畑も機材が流されてるし、収穫機材も入れられないと言っていた」と心配していました。

発令後も続く断続的な雨、地盤の緩みが心配

特別警報が解除された後も、与論町では断続的に雨が降ったり止んだりを繰り返していました。
大雨で緩んだ地盤にさらに降雨が重なり、土砂崩れや斜面の崩壊が懸念される状況です。
発令から3日後の12日にも、斜面から染み出した雨水が道路の坂道を下り続ける様子も見られ、雨が止んだ後も地面に蓄えられた水分が表面に出てきているようでした。

←発令3日後(11/12)撮影
雨が上がっても、大量に斜面を流れ落ちる雨水

台風も発生!

冠水などで通行止めだった道路も復旧に向かっていますが、近海では台風も発生。
進路が与論へ向かっているようなので、まだまだ不安な与論島です。
浸水被害は大変でしたが、幸いにも怪我や行方不明となる人がいなかったので本当によかったです。

今週は重要無形民族文化遺産に登録されている、与論十五夜踊りがあります。
与論十五夜踊りはそもそも「雨乞い」の儀式だったようですが、雨はもういいです…
災害回避祈願🙏